HEAD

2022/04/22

ナンバースクール特に仙台二の受験について その1

 忘れないうちに頭の中にある知識をまとめておきます。

--

仙台二高を目指すにあたっての周辺知識をツラツラと思いつくまま記しておきます。
このへんあまり教えてくれる人いませんからね。特に県外から来た人にバックグラウンドを。


受験にはまず、親が宮城県教育委員会の資料を読み込むべきです。制度を知らないと対策できません。いまの公立中学校はなんにも指導してくれません。塾もあまり教えてはくれません。自分で切り開かないと。

宮城県高校教育課

「宮城県公立高校入学者選抜」のバナーをクリックすると資料が揃っていますからそこからスタートです。


【ナンバースクールの状況】

2009年度まで、仙台地区は仙台北学区、仙台南学区に分かれていました。北学区には仙台二高、宮城一女高(現宮城一高)、南学区には仙台一高、宮城二女高(現仙台二華高)が位置しました。長年この4高が県内では学力的にトップレベルで、優秀な生徒は自分の区域内のトップ校を目指したわけです。数字が付くのでナンバースクールと称されてきました。現在は、この4校に、近年大学合格実績を伸ばしている仙台三高を加えた5校をナンバースクールと呼ぶようです。

歴史の古い仙台一、二はライバル関係にあり、卒業生に名士が多かったので、そのブランド力から共学化以降は優秀な女子も仙台一、仙台二を目指すようになり、女子の力で特に仙台二はずば抜けた偏差値となっています。
はるか昔には塩釜や石巻、白石、古川、気仙沼などにも質の高い生徒が揃っていたのですが、学区制がなくなり仙台偏重に拍車がかかっています。


【学力の状況】

2022新みやぎ模試の偏差値では仙台二68、仙台一66、仙台三64、宮城一62、仙台二華60です。きれいに2づつ差がついています。私立は聖ウルスラ学院英智type1がトップで仙台一と同じ66とされています。
大学入試の進研模試の例だと偏差値1は4.5点相当ということですから9点差で並んでいるというイメージでしょうか。


宮城県ではほとんどの生徒は公立を本命として、私立はいわゆる滑り止めとします。
その組み合わせはだいたい、

仙台二+ウルスラtype1、仙台育英特進
仙台一+仙台育英特進、東北学院特進、尚絅学院特進
仙台三+仙台育英特進、東北学院特進、尚絅学院特進、白百合特進など
二華+仙台育英特進、東北学院特進、白百合特進など

という感じでしょうか。このうちウルスラtype1だと、実際には入学辞退を見越してかなり多数の合格者を出すので受験者のほとんどが合格するのですが、そもそもの偏差値が異常に高いので本命が仙台二でないと怖くて出願できません。実際ある塾の資料では本命が仙台一でも約半数が不合格になっているようです。
また仙台育英の特進は特進合格者の上位を東大選抜クラスとして編成する仕組みになっているようで、東大選抜コースという課程があるわけではないです。

昔は私立2校を受験したものですが、いまは1校に絞って2回受験するというのが多いみたいです。その方が受験対策が少なくて済むので理にかなっているとは言えそうです。


各校の東大合格実績を見ると、仙台二は毎年だいたい10人前後で多くて20弱、仙台一は1-5ぐらい、仙台三と宮城一たまに1人、二華は5前後という感じで、東北大合格実績もだいたいこの並びです。ただ二華は定員が少ないので実質的には仙台一同等かそれ以上と言っていいでしょう。しかし実態は上位層のほとんどが中高一貫コース組のようです。

これらの実績がそのまま偏差値に反映されています。

また目立たないのですが、ウルスラtype1がここ10年で急速に実績を伸ばしており、東大には毎年、東北大にも二桁合格者を出すようになりました。約60人のコースですからこれは驚異的です。率的には仙台一以上です。ウルスラの場合は内部進学組が20人だけですから、高校入試組もかなり良い結果を出しているものと思われます。


コロナで制限された説明会で学校を訪れた感じでは、仙台二は生徒も教員も自信に満ち溢れさすがの貫禄。仙台一、仙台三はとにかく自由さがあり明るいです。特に仙台三は部活に打ち込む生徒がいる一方で自習室が満席でした。探究活動で作成したのであろう掲示物を見てもその考察が深く、おざなりな低位校とは雲泥の差です。いずれ仙台三が仙台一を追い越す日がくるような気がします。二華は県知事の影響を受けた保守的校風が気になるところですが中高一貫教育がひととおり完成し、いまの進学実績でほぼ落ち着くでしょう。ただ今後バカロレアコースが完成し海外有名大学への進学者が出てくれば、富裕層の入学者が増えることも考えられます。二華からアイビーリーグへ行けたらこれは魅力的ですものね。


昔の私立高校は成績の良い層は男子なら東北学院と東北学院榴ヶ岡、女子なら尚絅学院、宮城学院。成績のいまいちな層は男子なら仙台育英か東北、女子なら聖和学園か三島学園(現東北生活文化大学高)、中位層はそれ以外のところ、というはっきしりしたすみ分けがありました。いまはどの高校も生徒獲得に必死で、普通コースの他に特進コースとスポーツ等特待コースを設置するのが一般的です。同じ高校に学力優秀な生徒と部活専門の生徒が存在しているわけです。大阪桐蔭のミニチュア版といえば分かりやすいでしょうか。

なので、東北大クラスならどの私立学校に進んでもチャンスはあり、実際、城南や仙台育英から東大一般入試、白百合学園から東大AO、常盤木や聖和学園からも東北大AO入試合格者が出ています。意欲のある生徒には学校側もサポートは惜しまないようです。とはいえこうした例は稀ですし、公立を中心とした高校ヒエラルキー序列はこれからも基本的には変わらないでしょう。


【二高生の出身中学】

「宮城県高等学校名鑑(共立通信)」、によると2020年度入学生では宮教大附属中がダントツで40人、あとは仙台一32、五橋19、上杉山16、長町、富沢、吉成と続きます。河北新報の記事(https://kahoku.news/articles/20211224khn000017.html)などによると寺岡も増えているようです。たしかに合格体験記を見ると寺岡中出身者も目につきます。

仙台は昔から支店経済の街で、東京組がいずれ都に戻るときに備えて子どもの教育に熱心だと言われていました。転勤族は五橋、八幡、長町、吉成あたりに多く住みますし、古くから仙台に住むいわゆる上流階層は上杉、八幡、東北大周辺、寺岡あたりを好みます。経済的に余裕のある親が住む地域の子どもがナンバースクールを目指す、という連鎖は確かにあるといえそうです。


仙台でよく言われるゴールデンコースの典型は
明泉幼稚園→附属中→仙台二高→東北大(できれば医学部医学科)orそれ以上の旧帝大
となっていて、結局はこのブランドコースにいかに近づくかという競争がすなわち仙台での学歴競争ということになります。


(続く)


ナンバースクール特に仙台二の受験について その2